Wire ライブラリのスレーブアドレスについて
Start Condition を含んだスレーブアドレスはちょっと小難しいです。
アドレスに加えて、R/W#ビットを送信することになります。
SSD1306データシートによると、I2C通信の場合はデータ書き込みモードしか対応していないようです。
要するに、GDDRAM からのデータ読み出しはできません。
これはパラレル通信の場合のみのようです。
ですから、必然と R/W#ビットは 0 となります。
下図の様に、基板に16進数の 0x7A と 0x78 と印刷されていて、0x78 の方にチップ抵抗がハンダ付けされていたら、このデバイスのアドレスは 0x78 となります。
そして、R/W#ビットを 0 とした2進数は、
01111000
となります。
でも、Arduino core for ESP32 や ESP8266 の Wire ライブラリで、Wire.beginTransmission 関数を使って送信する場合は、それ自体に R/W# ビットを含んで送信しているようなので、R/W#ビット不要です。
というとは、0x78 という値の R/W#ビットを削除した値を入力することになります。
実際は、0x78 を右へ 1bit シフトして、このようにします。
ということで、Wireライブラリ関数のアドレスは、16進数 0x3C として、
Wire.beginTransmission( 0x3C );
と入力します。
これは間違いやすいので気を付けてください。
また、このデバイスのチップ抵抗のハンダ付けを変えて、アドレスを変更して、2つのデバイスを使い分けるということが可能です。
I2C通信の接続について
ESP-WROOM-32 ( ESP32 )や、ESP8266開発ボードの接続はちょっと注意が必要です。
I2C通信の SCL および SDA ラインには必ずプルアップ抵抗が必要なのです。
Amazon で売られている以下の SSD1306 モジュールはプルアップ抵抗がハンダ付けされておりました。
商品によってはプルアップ抵抗がハンダ付けされていない場合がありますので、基板をよく確認しておくことが重要です。
ということで、SSD1306 モジュールの SDA , SCL ラインにプルアップ抵抗が内蔵されている場合の接続方法は下図の様になります。
過去の私の記事では、SCL がGPIO#5 , SDA が GPIO#4 にしていましたが、最近のESP32 と SSD1306 合体モジュールでは逆に接続されているものがあるので、
SCL – GPIO #4
SDA – GPIO #5
としました。
●ESPr Developer 32 の場合
●ESP32-DevKitC の場合
●ESPr Developer ( ESP-WROOM-02 ( ESP8266 )開発ボード )の場合
Wire ライブラリによる SSD1306 初期化
では、Arduino core for ESP32 および ESP8266 による、OLED ( 有機EL )ディスプレイドライバの初期化を説明します。
初期化だけの抜粋スケッチはこのようになります。
【ソースコード】 (※無保証 ※PCの場合、ダブルクリックすればコード全体を選択できます)
Wire.begin(5, 4); Wire.setClock(400000); delay(100); Wire.beginTransmission(ADDRES_OLED);//※このバイトも含め、以後、合計32byteまで送信できる Wire.write(0b10000000); //control byte, Co bit = 1, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xAE); //display off Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xA8); //Set Multiplex Ratio 0xA8, 0x3F Wire.write(0b00111111); //64MUX Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xD3); //Set Display Offset 0xD3, 0x00 Wire.write(0x00); Wire.write(0b10000000); //control byte, Co bit = 1, D/C# = 0 (command) Wire.write(0x40); //Set Display Start Line 0x40 Wire.write(0b10000000); //control byte, Co bit = 1, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xA0); //Set Segment re-map 0xA0/0xA1 Wire.write(0b10000000); //control byte, Co bit = 1, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xC0); //Set COM Output Scan Direction 0xC0,/0xC8 Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xDA); //Set COM Pins hardware configuration 0xDA, 0x02 Wire.write(0b00010010); Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0x81); //Set Contrast Control 0x81, default=0x7F Wire.write(255); //0-255 Wire.write(0b10000000); //control byte, Co bit = 1, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xA4); //Disable Entire Display On Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xA6); //Set Normal Display 0xA6, Inverse display 0xA7 Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xD5); //Set Display Clock Divide Ratio/Oscillator Frequency 0xD5, 0x80 Wire.write(0b10000000); Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0x20); //Set Memory Addressing Mode Wire.write(0x10); //Page addressing mode Wire.endTransmission(); Wire.beginTransmission(ADDRES_OLED); Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0x22); //Set Page Address Wire.write(0); //Start page set Wire.write(7); //End page set Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0x21); //set Column Address Wire.write(0); //Column Start Address Wire.write(127); //Column Stop Address Wire.write(0b00000000); //control byte, Co bit = 0, D/C# = 0 (command) Wire.write(0x8D); //Set Enable charge pump regulator 0x8D, 0x14 Wire.write(0x14); Wire.write(0b10000000); //control byte, Co bit = 1, D/C# = 0 (command) Wire.write(0xAF); //Display On 0xAF Wire.endTransmission();
これは、データシートにある初期化例のフローチャートにできるだけ従ってみました。
1-2行目では、ESP32 と ESP8266 のプログラムで共通化するためにこうしました。
そして、Wire.begin() だけにしてしまうと、GPIOピンを変えられないので、任意のGPIOピンにするためにこうしました。
そして、注意していただきたいのは、Wire.beginTransmission 関数は、その関数が送信するバイトも含めて合計32byteしか送信できません。
ライブラリ内で 32byte までと定義されているためです。
ですから、Wire.beginTransmission関数の後は 31byte までです。
これ、とても重要!!
ということで、途中でWire.endTransmission 関数を置いて一旦区切り、再度Wire.beginTransmission 関数でコマンド送信を再開しています。
とりあえず、今の段階ではその方法しか知らないので、他の方法がありましたら教えていただけると助かります。
これは データバイトを送信する時も同じです。
そして、内蔵のチャージポンプレギュレーターを使ったコマンドを実行しないとOLED が表示されないことも重要です。
その他のコマンドは割愛させていただきます。
スクロールコマンド等は後日アップ予定の記事で紹介したいと思いますので、しばらくお待ちください。
そして、OLED のピクセル配置の始点設定は注意が必要で、次で説明します。
コメント
こんにちは。PIC Basic PRO環境とPIC18FシリーズでSSD1306を使おうと試行錯誤していました。こちらの記事とデータシートをにらめっこして、思い通りに表示させる事ができるようになりました。大変参考になりました。ありがとうございます。
TMさん
記事をご覧いただき、ありがとうございます。
PIC使いの方にもこの記事が役立ってくれたことは、ちょっと嬉しいです。
苦労した甲斐がありました。
SPIを使った場合の記事も楽しみにしています!よろしくお願いします!
ノラネコさん
記事をご覧いただき、ありがとうございます。
あ、そう言えば、SSD1306 の SPI もありましたね。
すっかり忘れていました。
今、取組中の課題が多くて、かなり後回しになってしまいそうです。
スミマセン
m(_ _)m
まだ勘違いされているようですね。
Coビットの意味を全然理解されていない。
にゃ さん
コメント頂き有難うございます。
そうですか・・・。
しばらく、しばらくSSD1306は使っていなかったので、今取り込み中の作業が終わったら見直してみます。
しばらく時間がかかりますが・・・。
勘違いばかりでダメダメですね・・・。
にゃ さん
もうすっかりこの使い方を忘れていて、思い出すのに時間がかかりました。
今、改めて自分の文章を読んでみると、Co bit のところが曖昧で何か変ですね。
Google 翻訳も中途半場です。
今、私が思い出したところによると、Co_bit=0 の場合は、その後に続くデータバイトを、コントロールバイト無しに連続して送信でき、Co_bit=1 ならば、その後のデータバイトは1バイトのみと解釈しました。
例として、
Brightnessdisplay off などは、制御コマンドが1バイトだけなので、その場合は Co_bit=1 にするという感じでしょうか。実際にGDDRAM へデータバイトを連続で書き込む場合は、Co_bit=0 にして、コントロールバイト1バイトの後、連続でデータバイトのみ送るという感じだと解釈しています。
実際にそれで問題無く動作しているのですが、これでも間違えていますか??
何分、英語の解釈が苦手なもので・・・。
にゃ さん
ソースコードなどを全て修正してみました。
ご指摘の通り、私の間違えと勘違いでした。
ご指摘されなかったら、問題無く動作していたので、延々と気付かなかったと思います。
修正はしたものの、まだ間違えていたらご指摘いただければと思います。
まだまだ素人でした。
この度はありがとうございました。
m(_ _)m
ライブラリ無しでの表示、大変興味深く読ませていただきました。
ところで、SPI用の記事は公開されていますでしょうか?
yoshitsune さん
記事をご覧いただき、ありがとうございます。
残念ながら、SSD1306についてはSPI用の記事はございません。
この記事は4年以上前の古い記事で、当時の記憶が大分薄れてきていますが、恐らく、グラフィックが扱いにくいSSD1306をSPIで動かすよりも、SSD1331を使った方が断然扱いやすかったので、SSD1306のSPIはスルーしたんだと思います。
はじめまして.
現在大学生で,初めてのIotデバイス制作を始めたのですが,今回のモニターの制御が難しく,難航していたのですがこの記事に完全に助けられました.
デバイス構成が完全に同じで,すべてが書いてありました.
細かな内部動作まで解説していただきとても感謝しています.
これからも拝見させていただきます!
ありがとうございました.
吾輩は猫さん
かなり古い記事ですが、ご覧いただきありがとうございます。
そう言って頂けるとめちゃめちゃうれしいで~す!!!
今やArduino core ESP32ではらびやんさん作成のLovyan GFXという超優秀なライブラリがあるので、それでESP32やESP8266でSSD1306を制御する方が遙かに高速で高機能ですよ。
ESP32界隈ではそのライブラリが標準になっているので、試してみて下さい。
(^^)