LDO LT1963 を使用した場合
では、LDO(ロードロップアウト)電圧レギュレーターを LT1963A ( リニアテクノロジー )にした場合はどうなるでしょうか。
これは、「ねむいさん」が以下の記事でADP3338よりも強く推奨しているものです。
ESP-WROOM-32を使ってみる2 -そんな電源で本当に大丈夫か-
これはRSコンポーネンツさんでも販売しています。
今回はこの制作方法を載せることはできないのですが、即席で作った感じはこうなりました。
GNDベタパターンっぽくするために銅箔テープも貼りました。
ハンダ付けヘタクソですみません。
出力に有り物のチップタンタル22μFを使っています。
タンタルコンデンサは故障するとショートするので、使う所は十分注意しなければいけないのですが、LT1963Aは保護機能があるので安心です。
このLT1963A が ADP3338 より優れているところは、各種保護機能が充実していることです。
電源逆接続でも保護してくれて、保護ダイオード不要です。
そして、何よりスバラシイのが、入力電圧が1.9Vから動作することです。
LM3525出力でドロップしても、これなら全く問題ないですね。
では、これを使った5V VBUSラインの電流測定はこうなりました。
1次突入電圧のオーバーシュートが一切無くなりました。
そして、1次突入電流は1A付近で押さえられ、50μC制限もクリアーしています。
ただ、2次突入電流については、50μCを3倍オーバーしています。
これは、LT1963Aの3.3V出力に22μFタンタルコンデンサを入れているためです。
ですから、この容量を少なくすれば良いだけです。
ただ、LT1963Aのデータシートにあるように、10μFを下回ってはダメなので要注意です。
そして、ここでよく見てほしいのは、負荷容量が10μFを超えていますが、VBUSラインの電圧降下が330mV以内に抑えられています。
ということはこれでヨシと言えるのではないでしょうか。
では、LM3525の出力、つまり、LT1963Aの前段で電流を測ってみます。
LM3525のソフトスタートがどのように影響をあたえているのでしょうか。
どうでしょうか。
ドロップが全く無く、素晴らし過ぎますね。
LT1963A の動作を妨げるものは一切無く、安心です。
3.3Vラインはここに掲載するまでもなく、全く問題ない波形でした。
ということで、私的にはこの組み合わせが最強と判断したいと思います。
ただ、LM3525 の保護機能と、LT1963Aの保護機能が重複しているところもあるので、ちょっともったいないですね。
でも、電子工作的にはヨシとします。
DC-DCコンバータ RECOM R-78 3.3-1.0 を使用した場合
DC-DCコンバータは適当な物が見つからなかったので、これを使用してみました。
RECOM社のR-783.3-1.0 です。
RSコンポーネンツさんで入手できます。
Recom スイッチングレギュレータ,定格:3.3W
これは、出力1Aの DC-DCスイッチングレギュレータです。
ソフトスタートから保護機能まですべてを備えていますので、値段もそれなりにします。
スイッチングなので、それに伴うノイズはある程度は覚悟しなければならないです。
接続はこんな感じにしてみました。
ブレッドボード上レイアウトはこんな感じです。
かなりシンプルですね。
では、これのVBUSラインの電流波形を見てみます。
第1次突入電流と2次電流が起きるまで時間差があるので分けて表示します。
1次突入電流はどうやっても4A付近まで跳ね上がってしまいます。
もう、これは諦めました。
50μCで収まっているので勝手にヨシとします。
ただ、チップインダクタなどをそのラインに入れる場合は注意しないといけませんね。
2次突入電流では、スイッチング電源らしく、段階的に電圧を上げていることがわかると思います。
突入電流一山単位で50μC制限はクリアーしているので、これはこれで全く問題無しです。
3.3Vラインは掲載するまでもなく、全く問題無しでした。
結論として、DC-DCコンバータの場合は初期突入電流の処理を何とかすれば、回路が簡単で使い勝手が良いのではないでしょうか。
まとめ
以上、とても長~い記事なってしまい、ドッと疲れてしまいました。
今さらですが、記事を分割すればよかったと後悔しています。
もういい加減に電源検証は終わりにしたいので、以前の実験も含めて、私的主観で今回の実験を総まとめすると
●USB電源を取る場合には、ホスト側の電圧ドロップを330mV以下に抑え、突入電流限界電荷を50μC以下にする。
●デバイス全体のコンデンサ総容量はできるだけ10μF以内に抑える。
●ただ、USBホスト側電圧ドロップを330mV以内に抑えられれば10μF以上でも良いと思われる。
●突入電流(インラッシュカレント)対策は ESR 値が大きい10μF付近のコンデンサを使うと良い特性が得られる。
●VBUS入力に ESRの低い積層セラミックコンデンサを使うとオーバーシュートが発生する場合がある。
●VBUSラインにESR大のコンデンサと積層セラミックコンデンサを並列で組み合わせると良い。
●ソフトスタート付き電流制限スイッチ(パワースイッチ)やDC-DCコンバータを使うと2次突入電流が抑えられる。
●3.3Vラインのコンデンサは必要以上に大きくしない。
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )単体使用で、Wi-Fi 通信でLED 10個くらい同時に点灯させるくらいならば、突入電流対策さえしていれば、USB2.0電源で全く問題無し。
●USB2.0規格では、500mAが絶対定格ではない
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )単体の最大動作電流は約600mA
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )には必ず高速応答で低電圧から動作可能なLDOが必要。
といったところでしょうか。
ただ、これはディスプレイやSDカード、Bluetoothを使っていない場合で、それらを追加する場合には新たな検証が必要になります。
Arduino core for the ESP32 ではデフォルトで CPU周波数は 240MHz になっています。
内蔵Flashを使った場合は全く未知です。
何度も言いますが、私はアマチュアで独学ですので、今回の結果や考察は誤っているかもしれません。
上記の動作は一切保証しませんのでご了承ください。
また、ここまでの結論が導き出せたのは、「ねむいさん」やmacsbugさんのアドバイスのおかげです。
改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
m(_ _)m
やっとこれで、泥沼にハマったESP-WROOM-32 ( ESP32 )の電源検証は終わりにできます。
長かった・・・。
次回からはこの自作電源モジュールを使って、プログラミングしていきたいと思います。
ではまた・・・。
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