ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) の保護機能付き電源強化対策の実験

記事公開日:2017年3月14日
最終修正日:2017年3月16日

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こんばんは。

前回の記事に引き続き、ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) の電源強化実験考察です。

前回の記事ではUSB電源の突入電流(インラッシュカレント)の振る舞いを測定し、固定抵抗で5V側の電流制限をしてみましたが、それはやめた方が良いという結論でした。

今回は保護機能付きで、もっと効果的な方法が見つかりましたので報告します。
その代わり、電子工作としてはとても細かいハンダ付け作業が必要になります。

以下の電源強化策は、ESP-WROOM-02 ( ESP8266 )にも使えるものだと思います。

因みに当ブログで紹介しているものは、全て私的主観に基づいた、趣味程度のアマチュアレベルです。
動作やその他トラブル等に関して、一切保証しません。
また、電流測定についてはブレッドボード上による大まかな目安程度で、正確なものではありませんので予めご了承ください。
もし誤っていたらコメント等でご連絡いただけると助かります。

ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) の電源対策おさらい

ここまでの記事で、ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の電源設計のおさらいです。
USBポートやAC-USBアダプターから電源を取る場合についてです。

  • 電源投入時の突入電流によるVBUSラインの電圧ドロップ(降下)を330mV以内にする。
    これは、スリープからウェイクアップ時の遷移や、リセット動作時も同様。
  • USBケーブルが長いもの、または粗悪品だった場合、VBUS電圧ドロップ(降下)が大きいので、できるだけ短く太く品質の良いものを使う。
  • VBUS 5V ラインに接続する素子(チップインダクタなど)は突入電流値を考慮して、余裕のある許容電流値のものを選ぶ。
  • ESP-WROOM-32 ( ESP32 )単体使用時 はリセット動作時に約600mAを消費するので、それ以上の出力の余裕のあるLDO 電圧レギュレーターを選ぶ。
    そして、高速応答で、できるだけ低ドロップアウトのものを使用し、3.3Vラインが電圧ドロップしないものを選ぶ。
    また、入力側の動作電圧範囲が広いものを選ぶ(5Vラインの電圧降下が大きい為)。
  • 3.3Vラインのコンデンサ容量を大きくすると、電源投入時のVBUS 5Vラインの突入電流時間間隔が長くなってしまう。
    ただ、VBUSラインの電圧ドロップが330mV以内に収まっていて、電流値相当の電荷移動が50μCを超えなければ、容量を大きくしても差し支えない。

ザッとこんなところです。
以上をよく考慮して、以下の実験をご覧ください。
(※以下、ESP-WROOM-32 のCPUは80MHzでWi-Fi使用時の場合です。
内蔵Flash等は一切使わない場合ですのでお間違いなく)

今回使った測定器について

今回使った測定器は以下の記事でも紹介していますが、参考のために改めて紹介します。

ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の消費電流を電流プローブ無しで測定してみました

USBオシロスコープ PA-S2000/E ( P&A Technologies )

ずっと前に買ったものです。
サンプリングレート100MS/sec で、1Mポイントのストレージ機能があります。
パソコンにデータをすぐに取り込めて、小型で持ち運びが便利なのに高性能、しかも日本製というところで、私はとても重宝しています。
ちなみに、プローブは別売りで、かなり高価でした。

今回の突入電流測定では、立ち上がりがかなり高速なため、サンプリングレートは100M/sくらいないと測定できません。

LCRメーター U1733C ( KEYSIGHT )

要するにインピーダンスメーターです。
これもずっと前に買ったもので、当時のメーカーはAgilent で、今はKEYSIGHT (キーサイト)に変わっています。

ハンドヘルド型で、発信周波数が100kHzで測定できて、分解能が細かく、持ち運び用としてはかなりの高性能です。
測定リード線の抵抗値等をキャンセルしたり、ESR測定機能もある優れものです。
値段もそこそこしますが、据え置き型のものに比べればかなり安価です。

秋月電子通商さんなどでは、もっと安価なLCRメーターが出ていますね。
いつか試してみたいと思っています。

これは、コンデンサのESR ( 等価直列抵抗値 ) 測定や、シャント抵抗値の測定に必須です。
発信周波数は100kHz以上無いと、鋭い立ち上がりの突入電流のESR値を算出できないと思います。

電流検出抵抗(シャント抵抗)

秋月電子通商さんで購入した電流検出用チップ抵抗100mΩのものを4つ連結してハンダ付けしました。

電流検出用チップ抵抗器 0.1Ω1W±0.5%

今回は新たに作り直し、LCRメーター U1733Cで測定した結果は

100kHz測定時 0.3911Ω

でした。
実は、以前の電流測定で測定リード線の抵抗値を差し引くことを忘れていましたが、今回はしっかり差し引きしました。
Wroom_PowerSwitch_0001

実際はブレッドボード上で使用するため、これで正しい電流測定ができるわけではありませんので、あくまで大まかな目安程度と考えてください。

各種コンデンサのESR (等価直列抵抗)測定

後で述べますが、コンデンサの ESR (等価直列抵抗)が電源の突入電流に大きく関係しているので、それを測定しなければならなくなりました。

下図の様に有りったけの手持ちコンデンサのESR を測定してみました。
LCRメーター U1733C の発信周波数は100kHz です。

Wroom_PowerSwitch_0002

なぜ、100kHz という周波数にしたかというと、突入電流(インラッシュカレント)を測定する場合、充電電流の立ち上がり波形ピークが10μS幅くらいなのでそうしました。
突入電流(インラッシュカレント)は一瞬ですが、交流っぽい挙動があるので、直流よりも100kHzで測定した値を参考にした方が良いと思いました。

ただ、ここで注意していただきたいのは、極性があるタンタルコンデンサや電解コンデンサは破損する可能性があります。
LCRメーターのような交流発信機には接続しない方が良いです。
私はその危険を承知しつつ、敢えてタンタルや極性有り電解コンデンサを測定しました。
本来は無極性(バイポーラ)電解コンデンサか、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサを測定すべきですので要注意してください。

あと、もう一つ注意点ですが、コンデンサのESRを測定する場合、測定リード線の抵抗値を差し引いておくことが重要です。
測定リード線をショート(短絡)させて、予め抵抗値を測っておいて、後で差し引きます。

この結果から、ESR が最も低いのはやはり積層セラミックコンデンサでした。
圧倒的低さですね。
これはどこでも売っている普通の積層セラミックコンデンサです。

次にESRが低かったものは、左から2番目の緑色のもので、秋月電子通商さんで売っているオーディオ用の電解コンデンサです。

オーディオ用無極性電解コンデンサー10μF50V85℃ ニチコンMUSE・ESシリーズ

ただ、同じMUSEシリーズでも右から2番目の以下のものはESRが大きいですね。

オーディオ用無極性電解コンデンサー10μF25V85℃ ニチコンMUSE・ES

そして、最もESRが大きいのはこれでした。

Wroom_PowerSwitch_0003

日本ケミコン
KMGシリーズ
10μF 16V 105℃

このESR値は大きいものと小さいものでそれぞれ一長一短があります。
ESRを調べて適材適所に使うことによって、突入電流(インラッシュカレント)に大きく影響してきます。
詳細は後述します。

USB2.0規格内に収めた時の負荷の電圧・電流の振る舞い

前回の記事の実験で大事なことが抜けていました。

USB2.0規格を満たした負荷にした場合の突入電流(インラッシュカレント)や電圧の振る舞いを測定していませんでした。

まず、下図の様に10uF積層セラミックコンデンサと1kΩの固定抵抗を負荷として、USB 5V VBUSラインのハイサイド差動電圧測定で電流値を割り出してみます。
因みに、USB-シリアル変換ボードの5V出力はUSB VBUSラインに直結されています。

Wroom_PowerSwitch_0004

積層セラミックコンデンサは10μFで販売されていたものを使いましたが、LCRメーターで測定したところ、5.9μFでした。
ESR (等価直列抵抗)はLCRメーター U1733C 100kHz で測定したところ、0.05Ωでした。

これの差動電圧測定結果は以下の通りです。
ノートパソコンのUSB2.0ポートの電源を使用しています。

Wroom_PowerSwitch_0005

あらら・・・。

USB2.0規格を満たしているのに、この突入電流はどういうことでしょうか?
これはパソコンのUSBポートが悪いのでしょうか。
ソフトスタート回路が全くないUSBポートのようですね。
積層セラミックコンデンサの充電電流が瞬間で4A近くまで振り切れてしまっています。
それに伴い、CH2電圧がオーバーシュートしています。

オーバーシュートというのは、設定値以上に電圧が上がってしまうことを言います。
ここでは5Vという電圧をかけているのに、5.6Vまで上がっています。
これが上がり過ぎてしまい、負荷側の許容電圧範囲を超えてしまうと、素子を破壊してしまう可能性があります。

前回の記事のコメント欄で、度々アドバイスを頂いている、「ねむいさん」から教えていただいたのですが、ESR (等価直列抵抗)が低い積層セラミックコンデンサで、容量を低くした場合、オーバーシュートが発生する可能性が高いとのことでした。

「ねむいさん」から紹介された以下のサイトも参照してみてください。

http://nemuisan.blog.bai.ne.jp/?eid=155302

http://www.tij.co.jp/lsds/ti_ja/analog/powermanagement/hints/power_sel_hint47.page

なるほど・・・、その通りになりましたね。
「ねむいさん」アドバイスありがとうございます。
m(_ _)m

この場合は、負荷が固定抵抗なので、LDOのような入力インピーダンスが高いものを負荷とすると、もっと顕著になります。

では、コンデンサ容量を大きくするために、以下のように積層セラミックコンデンサを並列接続してみます。

Wroom_PowerSwitch_0006

容量はほぼ倍になりましたが、ESRは並列のために約半分の0.028Ωになりました。
測定結果は以下のようになりました。

Wroom_PowerSwitch_0007

いかがでしょうか。
「ねむいさん」のおっしゃる通り、コンデンサ容量を大きくすればオーバーシュートは減りました。
ただ、逆に電流値は大きくなってしまいました。
ということは、この突入電流の大きさはコンデンサのESRが低すぎることによる原因と考えられます。

では、下図の様にESRが2.17ΩのKMGシリーズ電解コンデンサを使用してみます。

Wroom_PowerSwitch_0008

この測定結果は以下のようになりました。

Wroom_PowerSwitch_0009

いかがでしょうか。
突入電流が劇的に抑えられ、しかもオーバーシュートは全く無く理想的ですね。

では、この結果の920mAという突入電流の大きさを考えてみます。

前回の記事でUSB2.0規格のコンプライアンステストでは突入電流相当の電荷が 50μC 以下という要求事項がありました。

今回の測定の電流検出シャント抵抗の抵抗値は0.3911Ωです。
オームの法則から、電圧降下が399.1mVならば、1Aの電流が流れていることになります。

また、1C (クーロン) = 1A × 1秒 という計算式により、

50μC = 1A × 50μsec

となると思います。
それから考えると、USB2.0 規格の突入電流限界電荷 50μCというものは、下図の様な四角の面積分になると思われます。

Wroom_PowerSwitch_0010

これは私の勝手な解釈なので、間違っていたら教えてください。

そうすると、突入電流の山一つの全体面積は、パッと見た目でも、四角の面積相当分っぽいですね。
つまり、この突入電流は50μC面積相当と言えます。

Wroom_PowerSwitch_0011

ということで、この回路の突入電流に限定して見れば、USB2.0規格を満たしていると言えるのではないでしょうか。

以上の結果から、USBポートのVBUS電源のソフトスタート回路が無いものは、ESRの低いコンデンサで受けてしまうと突入電流が大きくなってしまい、オーバーシュートも起きてしまいます。
その場合、ESRの大きいコンデンサを使うと突入電流を緩和できるということが分かりました。

ただ、ESRが大きいということは、USBポートから電流が瞬間的に途切れて、そのコンデンサから電流を供給するような場合、5Vラインの電圧降下が大きくなってしまうので、それを考慮しておく必要があります。
それをカバーできる有効電圧範囲の広いLDO電圧レギュレーターを使っていることが重要になってきますね。

以上から、突入電流はどこまで許されるのかが今まで良く分からなかったのですが、今回の実験でようやく分かった気がします。
ただ、あくまで独学ですので、間違えていたら教えていただけると助かります。

LDO ADP3338 回路の改良

では、USBの入力側コンデンサの選定が決まったとして、今度はLDO 電圧レギュレーターのコンデンサ容量を改良していきます。
前回までの ADP3338 回路では、入力側に 10μF 出力側に 10μF のチップ積層セラミックコンデンサを使用していました。

これでは、入力側に10μFの電解コンデンサを使用してしまうと、USB2.0規格の総容量10μFを超えてしまいます。
先ほど測定した日本ケミコンKMGシリーズコンデンサの実測は8.9μFでしたので、LDOの入力側を1μFに変えます。

そして、ADP3338の出力側については、データシートによると1μFを下回ると不安定になると書いてあるので、必ずそれを上回らねばなりません。
よって、出力側はB特性チップセラミックコンデンサを2μFとしました。
チップインダクタは実験の為に今回は外しました。

Wroom_PowerSwitch_0020

LDO入力側はパスコンの用途も含め、積層セラミックが良いので、ESRの大きい電解コンデンサと組み合わせます。

そして、ESP-WROOM-32 の回路は以下のようにしました。

Wroom_PowerSwitch_0021

このVBUSラインの電圧電流測定結果はこうなりました。

Wroom_PowerSwitch_0022

あれれ・・・。

オーバーシュート気味で、しかも第1次突入電流が大きくなってしまいました。
2次突入電圧は、LDO出力側のコンデンサ充電によるものです。
パッと見た感じでは、50μCはクリアーしていそうですが、やはりオーバーシュートがダメですね。
それに突入電流は1A以下に抑えたいですね。

実は、このパターンでコンデンサをいろいろ変えて実験してみましたが、入力側コンデンサに積層セラミックが入っていると、いくらESRの大きい電解コンデンサを並列に入れても突入電流が大きくなってしまうんです。
しかも、オーバーシュート気味になってしまいます。
これは、私のパソコンのUSBポートがあまりに安っぽい回路だからかも知れません。

しかし、これからどんなUSBポートを使うか分からないので、どのポートでも対応できるようにしたいものです。

ということで、今度はこれを押さえるための対策として、パワースイッチ(電流制限スイッチ)というものを選んで使ってみたいと思います。

USBパワースイッチ LM3525 モジュール自作

素早い立ち上がりの1次突入電流と、2次突入電流を押さえる方法はいろいろ考えました。
例えば、サーミスタを使ってみるとか、前回記事のように電流制限抵抗を使ってみるとか・・・。
また、DC-DCコンバータも使ってみました。

結局、一番効果的だったのは、ESRの大きい電解コンデンサとUSBパワースイッチとLDOの組み合わせでした。

パワースイッチは以下の物を選びました。

LM3525M-L/NOPB (テキサスインストルメンツ)

Wroom_PowerSwitch_0100

これはRSオンラインで購入しました。

http://jp.rs-online.com/web/p/usb-power-switches/0460758/

ハイサイド(5V側)タイプとローサイドタイプがありますが、使いやすそうなローサイドタイプを選んでみました。

これは、主にUSBホスト側ポートやUSBルートハブポートに使う電流制限スイッチですが、突入電流制限素子としても使えるものです。
しかも過電流保護付きという優れものチップです。
1チップ219円とちょっと高価ですので、ハイサイドタイプの方が少し安いです。
そして、出力側の突入電流を抑制するためのソフトスタート機能があります。
ソフトスタートとは、電圧を上げる時間をゆっくりにして、コンデンサ充電の突発電流量を抑える機能のことです。

また、これの良いところは、何といっても日本語データシートがあることです。

http://www.tij.co.jp/product/jp/LM3525/technicaldocuments

これを使うと、LDO電圧レギュレーターの前にUSBハブを介しているような感じになります。
LDOに保護装置が付いていないものを使う場合には、とても有効なチップだと思います。
そして、ノートブックPC電源を保護する公称1Aのショート時出力電流という機能があり、USBホスト側も保護できるという優れものです。

これはUSB2.0規格用のもので、それ以上の電流を消費するデバイスでは使えません。

え?・・・なんで・・・と思いますよねぇ・・・。

今まで私は、ESP-WROOM-32の電源は USB3.0 以上の大電流対応のポートを使うべきだと言っていたのに・・・。

実は、いろいろ実験を重ねて ESP-WROOM-32 ( ESP-32 ) について分かってきたことは、単体使用でWi-Fi通信でLED10個程度を同時に点灯させるくらいならば、USB2.0で十分だという結論に至ったからです。
SDカードやディスプレイを接続したら分かりませんが・・・。
詳細な理由は後述します。

では、揃えるパーツは以下の通り、最小構成としました。

Wroom_PowerSwitch_0200

SOP DIP変換基盤は手持ちで有り物を使用しました。

SOP16ピンDIP変換基板

こんなにピン数は不要なので、別の基板の方が良いと思います。

パワースイッチ以外はほぼ秋月電子通商さんで手に入るものです。

接続方法はこんな感じです。
データシートのInrush Current-limit Applicationを参考にしました。

Wroom_PowerSwitch_0300

LM3525-Lの場合は、ENピンをLOWレベルにするとLM3525が起動し、HIGHにするとOFFになります。
ENピンにスライドスイッチなどを設けても良いと思いますが、チャタリングの問題があるので、基本的にはUSBコントローラー等のマイコンでON-OFFするようです。
今回は主に突入電流対策だけなので、予めENピンはON状態にするためにGNDに接続しておきます。

FLAG端子は過電流トリップした場合の警告信号出力用です。
これは今回使いませんので、無接続とします。

では、パワースイッチモジュールを自作していきます。

まず、変換基盤のGNDパターン上のレジスト膜をマイナス精密ドライバー等で必要なところを剥いでいきます。

Wroom_PowerSwitch_0400

こんな感じにします。

Wroom_PowerSwitch_0500

次に、LM3525の方向に注意して以下のようにハンダ付けします。

Wroom_PowerSwitch_0600

次に、0.1μFチップセラミックコンデンサをOUT端子に下図の様にハンダ付けします。
NCピンは何も接続しなくて良いのですが、GNDに接続するとハンダ付けしやすいです。

Wroom_PowerSwitch_0700

次に、すずメッキ線をGNDパターンとGNDピンにそれぞれハンダ付けします。
そして、INピンに0.1μFチップセラミックコンデンサの片側だけハンダ付けして、反対側は銅箔パターンの無いレジスト上に載せておきます。

Wroom_PowerSwitch_0800

次に、2.54mmピッチL型ピンヘッダを下図の様にハンダ付けし、すずメッキ線で0.1μFとGNDピンをハンダ付けします。

Wroom_PowerSwitch_0900

最後にOUTピンをすずメッキ線でジャンプしてハンダ付けすればOKです。
ハンダ付けヘタクソでスイマセン・・・。

Wroom_PowerSwitch_1000

以上、パワースイッチモジュールの自作方法でした。

パワースイッチLM3525入り回路の電流測定

LDOは先ほどのADP3338を使って、ブレッドボード上で下図の様に接続します。

Wroom_PowerSwitch_1300

ここで、まず、VBUSラインの10uF電解コンデンサ(実測8.9μF)を外した測定結果は以下の通りになりました。
(以下、コンデンサは必ず放電させてから測定しています)

Wroom_PowerSwitch_1400

オーバーシュートが激しいですね。
LM3525の絶対定格の6Vギリギリです。
これを超えたら故障します。
やはり、パワースイッチの突入電流制限機能の意味は、LM3525起動後の出力側のソフトスタートによるものと解釈した方が良いようです。
つまり、デバイス側の突入電流制限ということです。
入力側のコンデンサ充電の突発電流には対応できないようです。
本来、USBホスト側の突入電流はホスト側で制限すべきものですね。

ということで、結局、ESR 2.17Ωの電解コンデンサを上図のように接続しなければならないようです。
そして、測定結果は以下の通りになりました。

Wroom_PowerSwitch_1500

ん~・・・。
これでもオーバーシュートが出ています。
でも、波形が緩やかで、電圧も押さえられています。
LM3525の入力絶対定格が6.0Vなので、もう諦めてこれでヨシとします。
第1次突入電流も1A以下に抑えられていて、50μC制限もクリアーしていますしね。

第2次突入電流はLM3525のソフトスタートが効いていて、緩やかな立ち上がりになっています。
結果、電圧降下も抑えられています。
電流ピークが1Aを超えていて、電荷面積も50μCをオーバーしているように見えますが、ブレッドボード上測定の誤差と考え、データシートにあるようにPCを保護する公称1A電流に抑えていると判断して、私的には勝手にヨシとしてしまいます。
LDOの3.3V側コンデンサを大きくしてしまうと、突入電流一山の電荷面積がたちまち50μCを超えてしまうので、USB2.0規格に従うとするとこれが限界っぽいです。

いろいろコンデンサを変えて実験してみましたが、入力側のオーバーシュートはどうしても出てしまいました。
ただ、ESRの大きなこの電解コンデンサを使った方が、一番オーバーシュートが少なく突入電流も小さかったので、今のところこれが私の知識上では最善かなと思っています。

いずれにしても、何も対策しない場合の4A近い瞬時突入電流や6V付近までオーバーシュートすることに比べれば遙かに良い結果です。

パソコンのUSBポート側でソフトスタート機能があれば、こんな突入電流にならないと思うので、勝手に私のPCのUSBポートが悪いと判断したいと思います。

では、下図の様にパワースイッチLM3525のアウト側ポイント②で電流を測定してみます。

Wroom_PowerSwitch_1600

測定結果はこうなりました。

Wroom_PowerSwitch_1700

さすが、ソフトスタートが効いていて、1次突入電流は無視できるほど大幅クリアーしています。
しかし、2次突入電流による電圧ドロップがちょっと気になりますね。
LDO ADP3338の動作範囲2.7Vを超えた後すぐそれ以下にドロップしています。
前回の記事の電流制限抵抗を使った時よりもドロップ度合いは抑えられていますが、あまり良くないですね。

実は、ADP3338の前段にESR=2.0Ω 10μF電解コンデンサを入れたり、10μF積層セラミックコンデンサを入れたりしてみましたが、特性が更に悪くなっていしまいました。
ADP3338のデータシートによると、入力ラインの距離が長い場合以外は、入力バイパスコンデンサは必ずしも必要では無いと書いてあるので、ここは0.1μF積層セラミックコンデンサでも良かったかもしれません。
ということで、ここはコンデンサ容量を少なくすれば解決するだろうと予想して私的にはヨシとします。

では、ADP3338のアウト側の3.3Vラインはどうなっているのでしょうか。
測定結果は以下のようになりました。

Wroom_PowerSwitch_1800

いかがでしょうか。
スバラシイですね。

何も対策していないと、3.3Vラインの突入電流も2A越えしていたのが、LM3525のソフトスタートによって劇的に抑えられました。
これは、LDO ADP3338 の出力コンデンサを2μFに減らしたこともありますが、いずれにしてもピークは劇的に減りました。

ただ、反面、ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の動作に必要な電流まで抑えられてしまっては元も子もありません。

では、リセット動作時のESP-WROOM-32 ( ESP32 )が吸い込む純粋な電流測定結果を見てみます。
前々回の記事にあるように、ローサイド(GND側)で測定しました。

Wroom_PowerSwitch_1900

波形も鈍っていなくて、600mA付近という電流もしっかり吸い込むことが出来ているようです。

LM3525のデータシートによると、USB2.0ハイパワーモードでは、最低500mA の電流を常時流せるように補償しています。
最大1Aまでです。
ということは、USB2.0規格というものは絶対定格が500mAというわけではないようです。

では、Wi-Fi待機時のパルス電流をローサイド測定で見てみましょう。

Wroom_PowerSwitch_2000

プローブの校正が甘い! と突っ込まれそうな波形になっていますが、ちゃんと校正しましたよ。
パルスはキッチリ立ち上がっていて鈍りもありませんので、LM3525からはしっかり電流が供給されているようですね。
全く問題無しです。

LDO LT1963 を使用した場合

では、LDO(ロードロップアウト)電圧レギュレーターを LT1963A ( リニアテクノロジー )にした場合はどうなるでしょうか。
これは、「ねむいさん」が以下の記事でADP3338よりも強く推奨しているものです。

ESP-WROOM-32を使ってみる2 -そんな電源で本当に大丈夫か-

Wroom_PowerSwitch_3000

これは秋月電子通商さんで販売しています。

低ドロップレギュレータ 3.3V1.5A LT1963AES8-3.3

今回はこの制作方法を載せることはできないのですが、即席で作った感じはこうなりました。
GNDベタパターンっぽくするために銅箔テープも貼りました。
ハンダ付けヘタクソですみません。

Wroom_PowerSwitch_3100

出力に有り物のチップタンタル22μFを使っています。
タンタルコンデンサは故障するとショートするので、使う所は十分注意しなければいけないのですが、LT1963Aは保護機能があるので安心です。

このLT1963A が ADP3338 より優れているところは、各種保護機能が充実していることです。
電源逆接続でも保護してくれて、保護ダイオード不要です。

そして、何よりスバラシイのが、入力電圧が1.9Vから動作することです。
LM3525出力でドロップしても、これなら全く問題ないですね。

では、これを使った5V VBUSラインの電流測定はこうなりました。

Wroom_PowerSwitch_3200

1次突入電圧のオーバーシュートが一切無くなりました。
そして、1次突入電流は1A付近で押さえられ、50μC制限もクリアーしています。

ただ、2次突入電流については、50μCを3倍オーバーしています。
これは、LT1963Aの3.3V出力に22μFタンタルコンデンサを入れているためです。
ですから、この容量を少なくすれば良いだけです。
ただ、LT1963Aのデータシートにあるように、10μFを下回ってはダメなので要注意です。

そして、ここでよく見てほしいのは、負荷容量が10μFを超えていますが、VBUSラインの電圧降下が330mV以内に抑えられています。
ということはこれでヨシと言えるのではないでしょうか。

では、LM3525の出力、つまり、LT1963Aの前段で電流を測ってみます。
LM3525のソフトスタートがどのように影響をあたえているのでしょうか。

Wroom_PowerSwitch_3300

どうでしょうか。
ドロップが全く無く、素晴らし過ぎますね。
LT1963A の動作を妨げるものは一切無く、安心です。
3.3Vラインはここに掲載するまでもなく、全く問題ない波形でした。
ということで、私的にはこの組み合わせが最強と判断したいと思います。
ただ、LM3525 の保護機能と、LT1963Aの保護機能が重複しているところもあるので、ちょっともったいないですね。
でも、電子工作的にはヨシとします。

DC-DCコンバータ RECOM R-78 3.3-1.0 を使用した場合

DC-DCコンバータは適当な物が見つからなかったので、これを使用してみました。
RECOM社のR-783.3-1.0 です。

Wroom_PowerSwitch_4000

RSオンラインで入手できます。

Recom スイッチングレギュレータ,定格:3.3W

これは、出力1Aの DC-DCスイッチングレギュレータです。
ソフトスタートから保護機能まですべてを備えていますので、値段もそれなりにします。
スイッチングなので、それに伴うノイズはある程度は覚悟しなければならないです。

接続はこんな感じにしてみました。

Wroom_PowerSwitch_4100

ブレッドボード上レイアウトはこんな感じです。

Wroom_PowerSwitch_4200

かなりシンプルですね。

では、これのVBUSラインの電流波形を見てみます。
第1次突入電流と2次電流が起きるまで時間差があるので分けて表示します。

Wroom_PowerSwitch_4300Wroom_PowerSwitch_4500

1次突入電流はどうやっても4A付近まで跳ね上がってしまいます。
もう、これは諦めました。
50μCで収まっているので勝手にヨシとします。
ただ、チップインダクタなどをそのラインに入れる場合は注意しないといけませんね。

2次突入電流では、スイッチング電源らしく、段階的に電圧を上げていることがわかると思います。
突入電流一山単位で50μC制限はクリアーしているので、これはこれで全く問題無しです。

3.3Vラインは掲載するまでもなく、全く問題無しでした。

結論として、DC-DCコンバータの場合は初期突入電流の処理を何とかすれば、回路が簡単で使い勝手が良いのではないでしょうか。

まとめ

以上、とても長~い記事なってしまい、ドッと疲れてしまいました。
今さらですが、記事を分割すればよかったと後悔しています。

もういい加減に電源検証は終わりにしたいので、以前の実験も含めて、私的主観で今回の実験を総まとめすると

●USB電源を取る場合には、ホスト側の電圧ドロップを330mV以下に抑え、突入電流限界電荷を50μC以下にする。
●デバイス全体のコンデンサ総容量はできるだけ10μF以内に抑える。
●ただ、USBホスト側電圧ドロップを330mV以内に抑えられれば10μF以上でも良いと思われる。
●突入電流(インラッシュカレント)対策は ESR 値が大きい10μF付近のコンデンサを使うと良い特性が得られる。
●VBUS入力に ESRの低い積層セラミックコンデンサを使うとオーバーシュートが発生する場合がある。
●VBUSラインにESR大のコンデンサと積層セラミックコンデンサを並列で組み合わせると良い。
●ソフトスタート付き電流制限スイッチ(パワースイッチ)やDC-DCコンバータを使うと2次突入電流が抑えられる。
●3.3Vラインのコンデンサは必要以上に大きくしない。
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )単体使用で、Wi-Fi 通信でLED 10個くらい同時に点灯させるくらいならば、突入電流対策さえしていれば、USB2.0電源で全く問題無し。
●USB2.0規格では、500mAが絶対定格ではない
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )単体の最大動作電流は約600mA
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )には必ず高速応答で低電圧から動作可能なLDOが必要。

といったところでしょうか。
ただ、これはディスプレイやSDカード、Bluetoothを使っていない場合で、それらを追加する場合には新たな検証が必要になります。
また、ESP-WROOM-32 ( ESP32 )のCPUは80MHz の場合です。
160MHz にした場合や、内蔵Flash を使った場合は全く未知です。

何度も言いますが、私はアマチュアで独学ですので、今回の結果や考察は誤っているかもしれません。
上記の動作は一切保証しませんのでご了承ください。

また、ここまでの結論が導き出せたのは、「ねむいさん」macsbugさんのアドバイスのおかげです。
改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
m(_ _)m

やっとこれで、泥沼にハマったESP-WROOM-32 ( ESP32 )の電源検証は終わりにできます。
長かった・・・。

次回からはこの自作電源モジュールを使って、プログラミングしていきたいと思います。

ではまた・・・。

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投稿者:

mgo-tec

Arduino, ESP8266, ESP-WROOM-02 等を使って、主にスマホと連携した電子工作やプログラミング記事を書いてます。ライブラリも作ったりしてます。趣味、独学でやってますので、動作保証はしません。 電子回路やプログラミングの専門家ではありません。 畑違いの仕事をしてます。 でも、少しだけ電気の知識が必要な仕事なので、電気工事士や工事担任者等の資格は持ってます。

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