ESP-WROOM-32 (ESP32) の 電流 測定 その2

記事公開日:2017年2月28日
最終修正日:2017年3月8日

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前回の記事に引き続き、ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) 電流測定の第2弾です。

コメント欄で、macsbugさんや「ねむい」さんからアドバイスを頂き、その後いろいろと測定を見直してみました。

macsbugさんは自身のブログで、とてもコアな電子工作をしておられます。
できるだけ安価なものを取り寄せて、低予算で実現できる、とても興味深い記事を書いておられます。
現在、ESP-WROOM-32の最も有効と思われるボードを使って工作されているので、以下の記事をぜひ参考にしてみてください。

ESP-WROOM-32 and ESP32 Adapter Board

「ねむい」さんは、自身のブログ記事で誰よりも早く ESP-WROOM-32 ( ESP32 )に着目して電流値を測定し、電源の大切さを説明されておられます。
私も以下のブログ記事を見てこの実験に取り組みましたので、是非参考にしてみてください。

ESP-WROOM-32を使ってみる2 -そんな電源で本当に大丈夫か-

ということで、私の前回の記事の電流測定では、ハイサイド ( High-Side ) 検出測定と言うらしく、電圧ドロップ(降下)を同時に見ることが出来て良いのですが、いろいろなノイズを拾ってしまい、コンデンサの充電電流も含んでしまうので、純粋なESP-WROOM-32 ( ESP32 )が吸い込む電流値を測定するには不向きだったようです。

今回はmacsbugさんからご指摘いただいたとおり、ローサイド( Low-Side )測定を試してみました。
ESP-WROOM-32 ( ESP32 )が吸い込むとてもキレイなノイズの少ない波形が取れました。
これは目から鱗でしたね。
ただ、ローサイド測定はESP-WROOM-32のGNDが浮いてしまうところが難点でした。
これについては後述しています。

考えてみれば、ESP-WROOM-32 ( ESP32 )に流れる純粋な電流量を調べたければ、そのGND端子から電流が吐き出されるので、そこの電流値を測れば良いわけです。
このことはプロの電子回路屋の方々にとっては当たり前のことかも知れませんが、アマチュアの私にとってはとても新鮮でした。
macsbugさん、教えていただきありがとうございます。
m(_ _)m

前回の記事については、USB機器にダメージを与える電流が流れていないか、LDOの最大出力電流はどれくらいなのか、そしてドロップ電圧がどれくらいなのかを調べて、最適なLDOを選定することが目的だったので、ある程度良いデータが得られたのではないかと思っております。

ただ、ブレッドボード上という簡易接続ですし、必要以上に電源コードやグランド線が長く貧弱なので、正確なデータとは程遠いことは事実です。
ブレッドボードというものはあくまで仮接続で、常に誤作動が出る危険性を孕んでいて、正確性や信頼性を求めてはいけないということを強調しておきたいと思います。それに、USBケーブルや接続するポートによって電流値がかなり変わることが今回判明しました。

また、前回記事のコメント欄で、ねむいさんがおっしゃっていたとおり、ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) は別格の化け物マイコンです。
ブレッドボードはグランドが貧弱なので、クロック周波数を上げたり、Wi-FiとBluetoothを使ったりすると、様々な障害が懸念されます。
それをよくよく頭に入れておかねばなりません。

でも私の場合、いろいろと忙しくて、基板じっくり作る暇も無いですし、やっぱり手軽なブレッドボードはなかなか手放せません。
ですから、以上をよく頭に叩き込んだ上で、敢えてこの手軽なブレッドボードで出来ることを追求して、凝りもせず第2弾の電流測定をしていこうと思います。

クドイようですが、以下はあくまでブレッドボード上の素人測定なので、正確精密な測定ではありません。
あらかじめご了承ください。

因みに、Amazon.co.jp でもESP-WROOM-32 関連の販売が多くなってきましたね。



その他、スイッチサイエンスさんなどからも専用ボードが発売されたりしていますね。
ますます、この界隈が活発になってきました。

ESP-WROOM-32電流測定ブレッドボード上回路プチ見直し

macsbugさんやねむいさんのアドバイスも考慮に入れつつ、ブレッドボードにこだわって、電流測定回路をプチ見直してみます。
(後で別途大幅見直しします)
まず、前々回の記事の配置をちょっと変えて、リセットスイッチやLEDよりもLDO (ロー・ドロップ・アウト)電圧レギュレーターに近い位置にESP-WROOM-32を配置しました。
以下の様にします。

Wroom_Current2_01

macsbugさんがおっしゃっているとおり、できるだけ電源に近い位置にして、ジャンパー線も短くしてみました。
この写真はありません。撮るのを忘れてしまいました。

これでまず、USBケーブルやUSBポートを変えて、ハイサイド電流を測定してみます。

接続するUSBケーブルやUSBポートによる電流値の違い

では、上記の「プチ見直し回路」で、USBポートやUSBケーブルをいろいろ変えてみたら、突入電流や電圧ドロップが異なり、なかなか面白いデータが得られたのでご報告します。

前回の電流測定では、1A出力のUSB-ACアダプターを使って、中国製USBテスターと長めのUSBケーブルをジョイントして測定していました。

実は、USBケーブルの長さを明記していなくて申し訳ありませんでした。
改めて、USB側のケーブルやポート構成を明記すると、こうなります。

1A出力USB-ACアダプター

1.5m USBケーブル

中国製USBテスター

0.9m USBケーブル

高性能マイコンを使うにしては、USBケーブルラインがちょっと長すぎましたね。
失礼しました。

でも、一般的にUSBケーブルは5mまでのケーブルが売っていて、これくらいの長さは多くの人が良く使うと思われます。
ということで、改めてESP-WROOM-32 の電源投入後から自動リセットまでの5Vラインの波形を見てみます。
前回の記事よりも波形位置とレンジを変えました。

Wroom_Current2_02

やっぱり、ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の自動リセットのところで1Vくらいの電圧ドロップがあります。
こんなに下がってしまうと様々なトラブルの元になりますね。
そして、2段階の突入電流があります。

では、1.5m USBケーブルを外してみると、こうなります。

Wroom_Current2_03

どうですか?
ESP-WROOM-32 自動リセット起動の5Vラインの電圧ドロップがかなり少なくなっていることが明らかに分かりますね。
ざっと見た感じで倍くらい少なくなってます。
ということは、やっぱりUSBケーブルは短く太い高性能のものを使用した方が良いということですね。

では、今度は中国製USBテスターを外して、1.5mUSBケーブルと0.9mUSBケーブルをジョイントさせただけの場合はどうなるのでしょうか?

Wroom_Current2_04

2段階突入電圧が消えたように見えます。
(実は拡大すると2つ山がありました。後述します)
リセット時のドロップは最初のグラフとあまり変わりありません。
ということは、

5Vライン電圧ドロップはUSBケーブルがネックだった!

ということがハッキリしましたね。

USBケーブルが0.9mの場合と0.9+1.5mジョイントケーブルの場合のリセット時のドロップ電圧を拡大して比較してみると、

Wroom_Current2_08

Wroom_Current2_09

パッと見た目もかなり降下が大きいことが分かります。
0.9+1.5mジョイントケーブルの場合は最大4.2Vまでドロップしてしまいました。
1.5m長くしただけで、0.5Vもドロップしてしまうということです。
もちろん、ケーブルの質によって変わります。
また、USBケーブルが長くなると抵抗値が上がるので、電流値は少なくなってしまっています。
デバイス側では必要な電流が欲しいのに、電流値が下がる上に、電圧がドロップしてしまうのは良くないですね。

粗悪な物で、距離の長いUSBケーブルを使ったり、USBハブを使ったりすると、リセット時やWi-Fi通信時のパルス電流で5Vライン側が1V以上瞬時電圧降下(ドロップ)を起こす可能性大という事です。
その場合、LDO電圧レギュレーターの動作範囲外まで電圧が落ち込んでしまい、3.3Vラインも予想外の電圧不安定を引き起こす可能性があります。
ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の動作電圧範囲は、データシートによると、2.2~3.6V ですから、それ以下になると思わぬトラブルに見舞われるようです。
「ねむい」さんの以下の記事では、プログラム書き込み中に電圧ドロップが起きると、ESP-WROOM-32が故障する場合があると書かれています。

ESP-WROOM-32を使ってみる5 -ESP-WROOM-32が物故割れた

この記事、故意に破壊させていて、オモシロイですよね。
3回トラブったら4回目は無く、永遠にESP-WROOM-32は復活しないというのは怖いですね。

さて、突入電流はどうかというと、USBテスターを外すと2段階波形が無くなっているように見えましたね。
実は拡大すると、とんでもない大きさの電流で2つの山が出ているのですが、これは後で述べます。

ということで、私の手持ちの物では、0.9mUSBケーブルでUSBポート直挿しが一番特性が良いようです。
ということで、以降は主にこれで測定していきます。

では、今度はACアダプターではなく、パソコンのUSBポートにするとどうなるのでしょうか?
まず、USB2.0に挿すとこうなります。

Wroom_Current2_06

これを見る限り、ACアダプターとそう変わりありませんね。
(ただし、実は突入電流を拡大するとエライことになっていました。後述します。)

パソコンのUSB3.0ポートにするとこうなります。

Wroom_Current2_07

これもUSB2.0とそんなに大差無いように見えますが、突入電流を拡大すると大変なことになっています。

以上から、大電流マイコン5Vラインの電圧ドロップを最小限に抑えるには、

USBケーブルは太くて短くて質の良いものを使うべし!!

ということです。
そして、間にUSBテスター等の機器を挟んだりすると、突入電流波形が変わることが分かりました。

では、次ではその突入電流を拡大して見ていきましょう。

5V(Vbus)ラインのUSBケーブルやUSBポートによる突入電流の違い

まず、前回の記事のように、ACアダプター、USB1.5mケーブル、USBテスター、USB0.9mケーブルを接続した場合の波形を改めて見てみます。
前項の波形のように、2つの山があったので、まず、第1次突入電圧波形です。

Wroom_Current2_10

次は第2次突入電圧波形です。

Wroom_Current2_11

第1次と第2次では約50msの間隔があります。
LDO ADP3338を使った場合の3.3Vラインも同じ間隔で2つの山があります。
この50msという間隔がESP-WROOM-32 自体に悪影響があるかどうかは分かりません。
でも、最悪の場合、1度起動してすぐ電源瞬断しているとも考えられます。
やっぱりこれは押さえたいところですね。

では、1A出力のACアダプターと0.9mUSBケーブルの場合の突入電流を拡大するとこうなります。

Wroom_Current2_12

なんと、山が1つになったように見えただけで、拡大すると2A越えの山が2つもありました。
約70us間隔です。
と、いうことは、中国製USBテスターは突入電流を抑制してくれていたということでしょうか。

先にも述べたように、USBケーブルが長く、質が悪くなると抵抗値やインピーダンスが大きくなるので、突入電流を抑制します。
では、1.5mUSBケーブルをジョイントした場合はこうなりました。

Wroom_Current2_15

突入電流は1A近くも減少しました。
これはオームの法則によれば、当たり前のことですね。

波形データは無いのですが、中国製USBテスターと0.9mUSBケーブルの場合は1.9Aという突入電流でした。
ということは、USBケーブルが長いとこれだけ電流抑制が働いてしまうわけです。

ならば、突入電流抑制はUSBケーブルを長くすればいい・・・と、いうわけにはいきません。
先ほど述べたように、電圧ドロップが大きく、ESP-WROOM-32の誤動作に繋がりますので、止めた方が良いですね。

では、PCのUSB2.0ポートに挿すとどうなるのでしょうか。
これは、パソコンの個体差があるのですが、私の手持ちのノートPCではこうなります。
因みに、USBケーブルは0.9mを使用してます。

Wroom_Current2_13_

なんと、第1次突入差動電圧が欄外まで振り切れ、3Aを超えてしまいました。
これはちょっとあまりにも大きすぎますね。
USBポートの素子は大丈夫なのでしょうか・・・?

では、PCのUSB3.0ポートではこうなります。

Wroom_Current2_14

やはり、第1次突入電流が3A越えで振り切れています。
波形はUSB2.0ポートとほぼ同じで、電流値もほぼ同じ程度と言えますね。
ということは、パソコン内部では、コンデンサ等の構成部品がUSB2.0と3.0ではほぼ同じ容量のものを使っているような気がします。

規格では、USB2.0ポートの最大電流は500mA、USB3.0ポートは900mA ですが、もう何十回とUSBケーブルを抜き差ししています。
でも、今のところUSBポートは破壊されていないようです。
しかし、この突入電流はできる限り抑制したいところですね。

5VラインのコンデンサはPC側は調べていないので分かりませんが、LDO入力では10uFチップセラミックコンデンサがあります。
その他、ADP3338内部のコンデンサがあると思われます。
逆起電力を生むチップインダクタが瞬時電圧降下を押さえているところもありますが、話が難しくなるので、ここでは主にコンデンサに充電する電流について私なりに勝手に想像してみます。
間違えていたらスイマセン。

2つの電流の山の1段目は恐らく容量の小さなコンデンサに充電する電流かと思われます。例えばマイコンを高周波ノイズから保護するバイパスコンデンサなどが考えられます。
次の2段目の山は外付けの10uFのコンデンサに充電している電流かと思われます。

小容量コンデンサが満充電になった時点で5Vになりますが、そこではまだ外付け10uFの充電は途中なので、その電流で電圧降下が起きていると思われます。
そして、2つ目の山は幅が大きな山になっていて、5Vまで充電出来たら電流が下がると思われます。

では、この突入電流がデバイスに与える影響を考えてみたいと思います。

突入電流による影響を考える

では、突入電流は無視して良いのか、またはこれは抑制しなければいけないのか、素人の私なりに考えてみたいと思います。

突入電流がコンデンサに充電するためだけの電流ならば、その電流経路がケーブルや基板パターンの場合だけに限り、特に問題無いと考えられます。
当然、その電流に耐えうるケーブルの太さや、基板パターンがあることが前提です。
下図の様に5Vの突入電流ラインにパーツが無ければ特に問題無いと思われます。

Wroom_Current2_16

これでも、その電流経路が極端に細かったり、クネクネ曲がっていたりすると抵抗値が大きくなって悪影響が出ます。

もし、その経路に電子パーツが接続されているならば、そのパーツの許容電流を考えなければならないと思います。
実は、私の自作したLDOボードでは、以下のようにフェライトビーズチップインダクタがありました。

Wroom_Current2_17

ムラタ製チップインダクタ BLM21PG3331SN  は最大定格電流が1.5Aでした。
1.5Aもあれば、問題ないだろうと踏んで購入したんですけどねぇ・・・。
と、いうことは・・・。
3A越えの突入電流で破損してしまう可能性があります。
もう何十回も突入電流を流してしまいました・・・。

チップインダクタは無くても良いのですが、電源からのスパイクノイズやコモンモードノイズを除去するのに有効なので、やっぱりこれは使いたい。
とすると、耐電流の大きなチップインダクタを使うか、または突入電流を抑制した方が良いということになりますね。
それに、USBポート出力段にもどんなパーツが接続されているか分かりませんからね。

また、電圧安定のために大容量のコンデンサを置きたい場合があると思います。
でも、充電電流が流れる時間が長くなってしまうだけで、逆に悪影響を及ぼす可能性があります。
ですから、むやみに電源電圧のコンデンサ容量を大きくすれば良いというものではないということを頭に入れておかねばなりませんね。
(以上、素人なりに考えた突入電流についてですが、実は後でこの想像と異なる結果で出てしまい愕然↓↓↓)

ESP-WROOM-32電流測定ブレッドボード上の回路見直し(その2)
GNDライン強化

では、コンデンサ充電電流を極力排除して、ESP-WROOM-32 だけが吸い込む電流値を測定することにチャレンジしてみます。
これは、前回記事コメント欄macsbugさんからのアドバイスによるものです。
といっても、あくまでブレッドボード上なので、ベタグランドも無いですし、プチ強化というか、あまり効果が無いかもしれません。
でも、これでどれだけ変わるかを見てみたいというのもありました。
ということで、macsbugさんの言うように、ESP-WROOM-32の裏側のGNDパターンから引き出して、GNDに接続してみます。

以下の配線図を見てください。

Wroom_Current2_20

ESP-WROOM-32 の裏面の金色の放熱パターンを実際にテスターでチェックしたところ、やはりGNDでした。

ということで、ここに4回線ハンダ付けしてみました。
その他のGND端子も全部接続してみました。
LEDもESP-WROOM-32から出ている電流なので、共通のGNDに接続します。
最初に紹介しましたが、macsbugさんの以下の記事では、海外販売のとても良さげな基板に穴を開けて、それにハンダ付けされていますので参照してみてください。

ESP-WROOM-32 and ESP32 Adapter Board

このアダプターボードはAliexpress でしか販売されていないようですが、現時点で私が今まで見た中では最強のアダプターボードと思っています。
なにしろ、ベタグランドや電源パターンが広く取られているというところが良いですね。
これに穴を開けてハンダ付けするやり方はよく考えたなぁ・・・と感心しました。

残念ながら私はこのボードを持っておりませんので、ブレッドボード上で頑張ってみます。

まず、丸ピンヘッダを4つカットします。
そして、下図の様にラジオペンチで先端をL字型に折り曲げます。

Wroom_Current2_22

次に、下図の様な銅箔テープを用意します。

Wroom_Current2_23

Amazon.cp.jp

これを放熱パターンのサイズに合わせて切り取ります。
そして、下図の様にハンダ付けしておきます。

Wroom_Current2_24

そして、これをESP-WROOM-32 の放熱GNDパターンにハンダ付けします。

Wroom_Current2_25

これの注意点は、ESP-WROOM-32のGNDパターンに長く熱を当てすぎない事です。

実は、私はこのピンヘッダを直接GNDにハンダ付けしたときに、熱を当てすぎて2度とESP-WROOM-32が動かなくなってしまいました。
700円がパーです。
コテを長く当てすぎると、内部のパーツのハンダも溶けてしまいますので、できるだけ素早く終わらせてください。
ハンダの量が多い為、熱量があります。十分気を付けてください。

では、ブレッドボード上で接続すると、こんな感じになります。

Wroom_Current2_21

電流測定で、ESP-WROOM-32側とコンデンサ側と分けるために、ブレッドボードを2枚連結しています。
このサンハヤト製ブレッドボードは簡単に連結もできてとても使いやすいですね。

しかし、ここまでやるんだったら、専用のボードを買った方が早いですね。
あくまで、ブレッドボード上でやるための苦し紛れの方法ですのでご容赦ください。

結局のところ、USBシリアルのGND端子に接続するところがボトルネックになってしまい、GNDライン強化にはなっていないかもしれません。
ただ、前回の記事のような、貧弱なGNDピン1回線からだけ取るよりは大分マシになったと思います。

ESP-WROOM-32 ローサイド ( GND側 ) 電流測定

今まではハイサイド( High-Side )電流検知測定でした。
ハイサイド電流測定は、電圧ドロップ(電圧降下)も見ることが出来るという長所がありますが、さまざまなノイズが乗ることが欠点です。

ローサイド( Low-Side )電流測定はESP-WROOM-32 だけが消費した純粋な電流を測定するのに向いています。
しかも、電流測定抵抗(シャント抵抗)の片側がGND接続されているので、プローブ1本で済みます。
ただし、これの欠点はGND側に電流検出抵抗(シャント抵抗)を接続するためにESP-WROOM-32のGNDが浮いてしまうことです。

macsbugさんから紹介された National Instruments の電流測定注意点のサイトを参照してみてください。

電流測定の理論と実測

そして、この他にハイサイド検出とローサイド検出の長所短所が書かれた、RSオンラインの以下のサイトもとても参照してみてください。

シャント抵抗器(SMD)編

ということで、私はいままでローサイド測定を知らなかったので、macsbugさんのおかげでとても勉強になりました。
重ねてありがとうございます。
m(_ _)m

では、まずはESP-WROOM-32の電源投入からリセット動作までの大まかな波形はこうなりました。

Wroom_Current2_26

いかがでしょうか。
Ch1プローブ1本だけで電流検出抵抗(シャント抵抗)の電位差が測れて、とてもシンプルです。
ただ、やはり、ローサイド測定の欠点でしょうか?
ESP-WROOM-32のGNDが浮いてしまっていることによるものと思われる、0V以下の降下が起きてしまっています。
この原因は、今は正直分かりません。
ですが、波形全体はハイサイド測定よりも驚くほどキレイです。
ただ、オシロスコープの電圧レンジをかなり小さくしないと、トリガーがかからないので、オシロスコープの性能や、GND電位の安定に影響されやすいですね。

突入電流はこの波形では無くなったように見えますが、拡大すると、やっぱりありました。
ACアダプターに接続した場合の電源投入突入電圧は、拡大するとこうなります。

Wroom_Current2_28

やはり、ローサイド電流測定の欠点でしょうか、電圧がマイナス側へ振れてしまいますね。

ノートパソコンのUSB2.0ポートへ挿し込んだ場合の突入電流はこうなります。

Wroom_Current2_27

あれ??

想像していたことと全く違う結果になってしまいました。
この結果には大いに疑問です。

突入電流はコンデンサに電荷を貯める電流で、ESP-WROOM-32直近のローサイド測定を行えば、USBポートに左右されず、同じ電流値を示すものと想像していたんです。
なぜ、USBポートを変えると3.3V側ローサイド電流測定で突入電流が変わるんですかね・・・???
LDOのGND電流も合算されないように回路を分離していたつもりですが・・・。

何が何だか分からなくなってしまいました。
私の考え方が間違えているんでしょうか??

いずれにしても、接続する電源やUSBポートによって、ESP-WROOM-32が吸い込む突入電流が変わるということにしておきます。
これはまた今後の課題とします。

気を取り直して先に進みます。

この電流値を見る限りでは、ハイサイド電流測定よりは大幅に電流値が減っていますので、外付けコンデンサ充電電流は排除されていると思われます。

では、リセット電圧波形を見てみます。

Wroom_Current2_29

どうですか!!!
驚くほどキレイなリセット電圧波形が得られました。
上記のハイサイド測定と比べてみて下さい。
スパイクノイズが殆ど無く、波形がクッキリ現れています。
スバラシイですね。
この形はそのまま電流波形と同じ形になります。

ただ、GND電位がマイナスになってしまっているため、電流値については若干怪しいのですが、やはりESP-WROOM-32のリセット電流は約600mAと言えるのではないかと思います。
ということは、やはりUSB2.0 ポートは使うべからずということですね。

では、Wi-Fi通信待機時のパルス波形はこうなりました。

Wroom_Current2_30

前回の記事では、ハイサイド測定で、スパイクノイズを含めた電流値が約600mAということでしたが、このキレイな波形では約400mA でしたね。
これはWi-Fiコネクション時でも、LEDのスマホON-OFF時でも、このパルス電流の最大値は変わりありませんでした。
ローサイド測定でないと、ここまで純粋なパルスは得られませんでした。

以上から、ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の動作中については、リセット電流だけ要注意して、600mAを基準に設計すれば良いと思われます。
ただ、リセットボタンを押さないでも、動作時は所々リセットパルスっぽいものが出ているようなので要注意です。

電流制限抵抗やDC-DCコンバータを使って実験中

さて、ESP-WROOM-32 の電流値は概ね分かったので、後は突入電流抑制だけクリアできれば私的には満足です。

今、DC-DCコンバータを使って試していますが、ある製品は、3.3Vラインの突入電流が見事に抑えられたのですが、5Vラインは全くダメでした。
途中経過で詳細な解説は出来ないのですが、RECOMのR-78 3.3-1.0 というスイッチングDC-DCコンバータを試したところ、5VラインでUSB3.0ポートを使用した場合の突入電流はこうなってます。

Wroom_Current2_Recom5v

5Vラインの突入電流はやはり3A越えのようですが、山が1つにまとまっていました。

3.3Vラインのローサイド測定はこんな感じです。

Wroom_Current2_Recom3v3

突入電流の最大値は326mAに抑えられていました。
スイッチング電源っぽい階段状立ち上がり波形が見られますね。
ソフトスタートみたいな感じでしょうか。
3.3Vラインは文句のつけようがありませんが、やはり5Vラインが難点ですね。

そして、このDC-DCコンバータの最少入力電圧が4.75Vなのも難点です。
USBケーブルによって電圧降下が起きてしまった場合、4.75Vを下回ることが大いに考えられます。

また、ねむいさん推奨のLDO LT1963A も試している最中です。
保護機能付きというのはとても良いですね。

今、突入電流で最も有力な候補はLDO ADP3338を使って、5Vラインに電流制限抵抗を入れることのような気がしています。
突入電流が半分に抑えられて良い感じですが、電圧降下が大きいので、ADP3338の入力電圧を下回らないような調整が必要です。
抵抗値によっては、5Vラインが3V近くまで降下してしまいます。

抵抗を入れることは、長いUSBケーブルを使うこととあまり変わり無いので、あまり使いたくない方法ですが、一番簡単かも・・・。

その他の方法として、電流制限スイッチも試している最中です。
サーミスタは温度に影響を受けるので、あまり現実的ではないと思っています。

この報告は次回以降に記事にしたいと思っています。

まとめ

以上、macsbugさんやねむいさんに教えてもらったことを受けて、電流値測定の精度の上げ方を教わりました。
ハイサイド測定とローサイド測定ではそれぞれ長所と短所があり、目的によって使い分けるということを学びました。

今回の実験で学習したことをまとめると、

●USBケーブルは質が良く、短い太いケーブルを使うべし
●USBポートによって、突入電流値が異なる
●5Vラインの突入電流はUSBポートによっては3A越える場合がある。
●ESP-WROOM-32 のリセット電流は約600mA
●ESP-WROOM-32 のWi-Fi動作時のパルス電流は約400mA
●ESP-WROOM-32 の電源ラインはGNDも含め、できるだけ太く、最短距離にすべし。
●電流測定はハイサイド検出とローサイド検出があり、それぞれ一長一短がある。
●ブレッドボード上では正確性や信頼性は無いことを念頭おいて使う。

という感じでしょうか。

私みたいに別の仕事を抱えていて、基板を作り込む時間が無いアマチュア電子工作家は、ブレッドボード上の実験が多いと思います。
今回で実際に肌で感じたのは、ブレッドボード上でこの怪物マイコンを正常に動作させることは並大抵ではないということでした。
市販製品やスマホ内ではもっと遙かに怪物なマイコンが使われていると思うと、電子機器開発の歴史や、プロの技術者の凄さに圧倒されてしまいました。
先人達の確立した技術に敬意を表さずにいられませんね。

ということで、そろそろプログラミングに移りたいのですが、まだDC-DCコンバータの実験を終わっていないので、ひたすら電流測定を続けていきます。

ではまた・・・。

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投稿者:

mgo-tec

Arduino , ESP32 ( ESP-WROOM-32 ) , ESP8266 ( ESP-WROOM-02 )等を使って、主にスマホと連携した電子工作やプログラミング記事を書いてます。ライブラリも作ったりしてます。趣味、独学でやってますので、動作保証はしません。 電子回路やプログラミングの専門家ではありません。 畑違いの仕事をしてます。 でも、少しだけ電気の知識が必要な仕事なので、電気工事士や工事担任者等の資格は持ってます。

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